妊娠や病気で休むのは仕方ない気もしますが、会社側もあまりに休まれるとたしかに仕事が回っていかないため困ってしまいます。
この場合、解雇はできるのか?というのが今日のお話ですね。最近休みすぎているなーという実感があるのなら、このページを見て、スッキリ不安を解消していってください。
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仕事を休みすぎるとクビになるって本当?
仕事を休みすぎると、クビになってしまうのではないか….と心配しているかもしれません。結論から言うと、仕事の休みすぎでクビになることはあり得ます。
まず、雇用形態によってかなり違います。
正社員の場合、長期雇用を前提に考えられているので、そう簡単にはクビにできません。
しかし、契約社員の場合は、契約更新日になってしまえば、契約打ち切りにすることは容易に可能ですので、勤務意欲が低い社員に関しては、クビにされてしまうことも十分に考えられます。
ちなみに今回の記事では、病気や妊娠を理由に、仕事を休みすぎるとクビになることはあるのか?ということですが、悪気があって休んでいるわけではない場合、ほとんど解雇される心配はありませんから、安心してくださいね。
会社側が最も恐れているのは、不当解雇で訴訟を起こされてしまうことです。現代では、被雇用者が守られる制度がたくさん出来ていますし、そういう社会になっています。ですので、安易にクビを宣告して、それを発端に訴訟でもされたら、まず会社は負けてしまいます。
もちろん、会社側もできるだけ働いて欲しいと思っていますから、会社都合ではなく自己都合で辞めてくれないかと言い寄ってくるわけですが、その会社で働き続けたいなら、耳を貸す必要はないということです。
「仕事を休みすぎ」というのはどこまでを言うのか?
ちなみに、仕事の休み過ぎでクビになってしまうことは確かにあります。
では、その「休みすぎ」ってどの程度のラインの話なのでしょうか?
会社側が正当に解雇できる基準としては、出勤率が80%未満だった場合だと言われています。
ですから、1年の平日の数が250日程度あるとして、50日以上休んでしまった場合に初めて、会社も堂々と解雇宣言ができるということですね。また、無断欠勤などが2週間続くと、解雇に至ってしまうということもあります。さらに、無断でなく、ズル休みという形で虚偽の理由で休んでいた場合、悪質だと判断されてクビにされてしまうことがあります。
ですので、一概には言えないのですが、
- 無断欠勤をしないこと
- 特に理由もなく長期間休まないこと
- 虚偽の理由で休まないこと
この3つを守っていれば大丈夫です。
ちなみに、会社側もトラブルは避けたいですし、法律に違反したくはないので、出席日数が少ない社員に関しては、比較的穏やかな注意から入っていきます。
まずは口頭による注意が入ります。
そして改善が見られない場合、書面による注意となります。
さらに改善が見込めない場合、減給などの処罰が与えられます。
そして最終的には、降格・解雇などの重い処罰が与えられます。
中にはいきなり解雇を言い渡す会社もあるのですが、そういった解雇は法律的に言えばほどんど無効になるものばかりです。法律をわきまえた企業であれば、こういった順序であなたに注意を促すはずですので、口頭による注意、書面による注意の段階でしっかり直しておけば問題ありません。
病気で仕事を休む場合も、クビになる可能性があるのか?
病気になってしまった場合、かなり長期的に仕事を休むこともあるでしょう。
そんなとき、解雇を言い渡されるとパニックになってしまいそうですが、病気を理由にクビにはできるのでしょうか?答えを言うと、これも正直、ケースバイケースなのです。
解雇になってしまう場合としては、
- 精神的、身体的に問題があって、業務に耐えられない場合
- 治るめどが立たない場合
こういったケースが考えられます。
どうしても病気が業務に差し支えてしまって、仕事にならない場合ということですね。
しかしこの病気というのが、
- 仕事が原因で病気が発症した場合
であれば、会社はクビにすることはできません。
また、この場合、労災保険の給付金が貰えるはずです。会社は、仕事が原因かどうかの根拠を求めるでしょうから、病院へいき、診断書を貰っておくといいでしょう。それが証拠になります。
ちなみに、数週間、数ヶ月間の間、病気や怪我を理由に会社を休む場合で、なおかつ、労災保険が受けられない場合は、傷病手当金を受けることが可能かもしれません。
- 条件1:業務外の病気や怪我であること
- 条件2:病気や怪我で仕事ができないこと
- 条件3:4日以上仕事を休んでいる
- 条件4:給与の支払いがない
こういった条件をクリアできるのであれば、傷病手当金が発生します。
給料の2/3を受け取ることができますし、最長で1年半の間、傷病手当金が発生します。
ただし、1日も会社に行くことができないとなってしまうと、解雇されてしまうこともありますから、傷病手当金はあくまでも、「休みがちになってしまう社員向け」の手当金ということになります。
妊娠を理由に仕事を休む場合も、クビになる可能性があるのか?
さて次に妊娠をした場合に、仕事を休んでしまうとクビになってしまうのか?という問題ですが、これはまずあり得ません。病気とは違って、妊娠は必ず復帰のめどが立つものですし、女性であれば仕方のないことですから、これを理由にクビにしてしまうと、やはり問題になります。
- 労働基準法
- 男女雇用機会均等法
- 育児・介護休業法
ここらへんに引っかかってくることになるんですね。
これに違反した場合、会社に罰則が与えられます。
ですから、基本的に妊娠が理由でクビということはありません。
ただし、妊婦の合意があれば、減給や解雇にすることも可能となってしまいます。
そのため、小さい企業だと「うちは妊娠したら自己都合で辞めてもらうことになってるから」と言って、社内ルールのように辞めてもらう方向へ誘導していくところが多いわけです。
しかし、すでにお話した通り、妊婦を妊娠が理由でクビにすることはできないため、その会社に居続けたいという意思がある場合は、無視しておけば問題ありません。また、それでも辞めるように言われてしまう場合、訴訟を起こすことをほのめかしておくといいでしょう。会社側は裁判で勝てませんから、黙るしかなくなります。
どうしても、会社側がしつこい場合は、
- 解雇通知書
- 解雇理由証明書
- 就業規則
- 雇用契約書
- 解雇勧告のときの音声データ
こういった証拠を揃えましょう。
万が一、裁判沙汰になってしまったとしても、こういった材料があれば、かなり有利に事を進めることができます。
なお、いきなり裁判を起こすのではなく、
- 内容証明郵便を会社に送る
- 弁護士に相談
- 労働基準監督署に相談
- 労働審判を起こす
- 裁判を起こす
こういった順序で進めていくのが一般的です。
何度も言いますが、会社側に勝てる見込みはないわけですから、ほとんどの場合、内容証明郵便を会社に送るだけで解決してしまうと思います。内容証明郵便とは、郵便局が郵便の内容や日付などを証明してくれるというサービスのことで、これを利用することで、会社は「そんな書類が送られてきたことなんて知りません」と言い逃れができなくなります。
「法律に違反しているため、解雇通知を解除して下さい」という旨の文書を内容証明郵便を使って送ればいいわけですね。
まとめ
真面目に働いていさえすれば、例外を除き、病気でも妊娠でもそう簡単に解雇されることはありません。ただし、規模の小さい企業になればなるほど、働けない社員が増えてしまうとそれだけで売上に響くので、辞めさせようと誘導してきます。
そのとき、考えるべきなのは、
- その会社で働き続けたいのか?
- 会社の言う通り退職して、次のもっと良い職場で働くのか?
という2点です。
働き続けたいのであれば、法律的に有利なのは圧倒的に被雇用者の方なので、その意志を貫き通せばいいと思います。